FOR STUDENTS 看護研究学会の印象
職場で自分を生かしたい—“働く者の心理”をきいて
千田 信子
1
1秋田赤十字病院高等看護学院
pp.68
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911834
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私たちの携わる看護の仕事は患者の身辺の世話,医師の介助,患者や家族に対する教育,いろいろなところへの連絡と,その内容は多く,また年令的にもあらゆる階級の人々に接していかなければならないことから,とかく自己を機械化し,患者を物質化してしまいがちでまが,講師の先生のおっしゃったような“看護は時間的労働であり,医師との関係において,また自分に与えられたスケジュールをはたすことに精いっぱいで,自分の個性をじゅうぶんに表現できるものではない”という考え方について,私ははたしてそうなのかと思わずにはいられません。3年間のあるいは2年間の学業で習得したものが,その上に積み重ねられて行く多くの経験が,ただ時間的に与えられた1枚のスケジュールのみによって表現されていくとしたら,ひとつの職業を持つ人間として心から満足できるでしょうか。働く人々が誰しも,感じると感ぜざるとにかかわらず,自分の職業の中に自分を生かし,自分の才能をじゅうぶん発揮し,それに多くの報酬と,より安易な労働に携りたいと望んでいることからしても,そのような生活に満足できないことはわかると思います。
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