特集 地域と施設を結ぶコラボレーションシステム
助産師による継続ケアを実現するために―平成14年度「児童環境づくり等総合調査研究事業」から見えてきたもの
土江田 奈留美
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.1000-1006
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100621
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はじめに
女性が自身に具わった力を十分発揮するための安心できる出産の場を提供することは,周産期ケアを担う医療者すべてが願うところである。
21世紀のわが国における母子保健のビジョンとして提唱された「健やか親子21」では,「妊娠出産における安全性と快適さの確保」が主要課題として掲げられた。その実現のため,医療関係者へ提示されたさまざまな取り組みとして,助産師が参画したチーム医療の採用,高次医療施設も含めた病院,診療所,助産所などの周産期ネットワークシステムの構築がある。その具現化されたものとして,病院施設内での受け持ち制を取り入れたプライマリケアの実践および,開業医師・助産師が産婦とともにオープン化された病院に訪れ,分娩を行なう,いわゆるオープンシステムの導入などがある。これらは,今まで医療システム上,分断されがちであったサービスを,連携,継続させていく試みであるともいえる。
筆者は,平成14年度児童環境づくり等総合調査研究事業として,調査協力が得られたこれらの試みを積極的に行なっている全国11か所の施設に対してなされた,「助産師による継続ケアの実現」というテーマの調査に参加した。今回,この調査を変革という視点から再考し,その変革が定着していくまでのさまざまな問題やその調整過程について報告したい。
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