特集 地域と施設を結ぶコラボレーションシステム
周産期医療の中で求められる新しいシステム
坂本 すが
1
1NTT東日本関東病院
pp.995-999
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100620
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新しい周産期ケアシステムの必要性
少子化が言われるようになって久しい。高齢化には喫緊の問題の対策としてさまざまな社会制度改革が進められているが,少子化に対しては対策が早かったとも十分に行なわれたとも決して言えないだろう。しかし社会的活力の向上には,高齢化対策だけでなく,少子化対策は最も重要な課題である。少子化防止は,いかにして子供を産み,育て,親子が安心して暮らしていけるような社会にするか,という膨大な社会基盤の問題でもある。その意味で,総合的な社会的対策が必要であるが,周産期医療はその中でも基礎的な要素である。
不妊治療,母子保健診療体制,NICU体制,母性教育,思春期ケアなど,周産期医療の問題は多々あるが,今もっとも重要な問題となっているのは,周産期ケアシステムをいかにして現状にあったものにしていくか,ということであろう。少子化による産科医師や小児科医師の減少がある。また妊娠や出産に対する社会的な考え方も変化している。いかに安全に産むかだけでなく,いかにして自分らしく産むか,といったことが重視されてきている。また高齢出産増加によるリスクが増す一方で,未成年の妊娠出産増加による問題も増えている。現状の経済環境から出産費用が払えないケースも増えている。このような問題に対応し,継続的に質の高い周産期ケアを提供していくための新しいシステムを構築することが必要になっている。本稿では,このような新しい周産期ケアシステムの構築について,私見ながら考察した。
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