特集 周産期のナラティヴ―助産師の語りの世界から
外来での“かかわり”をとおして
野原 ヒロ子
1
1やびく産婦人科・小児科
pp.307-310
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100502
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はじめに
今回,ナラティヴアプローチでいう「かかわりの豊かさ」を考えるにあたり,私に与えられたテーマは,「不妊治療患者へのアプローチ」ということである。
これまで,私が大学病院の婦人科勤務時代に,不妊治療患者と直接的にかかわったのは外来での1年間である。この短い期間でのかかわりを物語として展開するには難しいという思いが先にたち,はたして文章にうまくまとめられるものかと,躊躇してしまった。
外来での勤務を振り返ってみると,流れるような業務のなかで,患者との会話は少ない状況にあったと思う。このような状況下でのかかわりは,断片的なものとなりがちであったが,しかし,多くの患者と接することができた。そして,1人ひとりから教えられたこともたくさんあった。医療現場にいる医師や看護者は,患者とのかかわりのなかから,いろいろと学んでいるし,また,そういった学びが次のケアにつながっていくのであるという認識を新たにしている。
今回,不妊治療後の妊娠で,39歳で高齢出産をしたGさんとのかかわりをとおして,感じたことを述べたいと思う。
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