特別企画 お産と出会う
出産をとおして自分と出会う
西村 晶子
1
1東京厚生年金病院
pp.378-385
発行日 1986年5月25日
Published Date 1986/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206872
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
出産を援助するとき,いつも私は,このお産が,この母親にとっていい体験になってほしいと願ってきました。同時にその母と子の体験を援助することが,私にとってもいい体験となるようにと思ってきました。それは,どんなお産でも,母と子が生きる出発点であると思うからです。母が退院するときには,自分らしくりっぽに子どもを育ててほしいと願い,何かあったらいつでも相談にきてください,私にも何か力になれることがあるかも知れませんという気持で,見送ってきました。
母親は困っていることを話すとき,その奥にはうれしいこともたくさんあるのであり,また反対に,うれしいことを語るときも,その奥にたくさんの悩みを持っているのでした。どちらの母親も,子どもとともに毎日を生きて,大きく成長していることを見てきました。そしてその成長する母親をとおして,私も成長させてもらったことを思います。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.