特集 公衆衛生への提言
地域活動
地域看護活動をとおして
上村 聖恵
1
1高知県厚生労働部医務課
pp.562-563
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205250
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在宅患者の看護問題
平均寿命の延長や疾病構造の変化,さらには社会変動に伴う過疎・過密現象のなかで,入院していない,あるいは入院を受け入れてもらえない在宅長期病臥患者の問題は,ますます深刻となっている.こうした在宅患者の看護の問題に対し,少しでも役立つ看護をと,可能な業務量の範囲のなかで,保健婦は対応している.しかし,現実に患者に接すれば接するほど,患者が居宅にいるかぎり,家庭看護の問題は患者や家族にしわよせされ,すべてが個人の責任であるかのような考えが支配的であることに気づく.
現行の医療体系の枠外にも放置され,公衆衛生活動の対象範囲にも組みこまれているところは,数えるほどしかない.このことは,老人医療の無料化,難病対策等,どのような制度が施行されても,患者が家庭にとどまるかぎり,看護面の公的援助はほとんど受けられない状態であることを示唆している.
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