特集 尿失禁ケア—女性のQOL改善のために
尿失禁ケア—助産婦のかかわり
高島 美奈子
1
,
野原 ヒロ子
1
,
平尾 静江
1
1琉球大学医学部附属病院産婦人科病棟
pp.106-114
発行日 1997年2月25日
Published Date 1997/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901642
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はじめに
現在,日本では尿失禁で悩んでいる女性が300〜500万人いると言われている1)。主に女性にみられる腹圧性尿失禁は,出産を契機に発症することが多いとされている。当琉球大学医学部附属病院で行なった調査では,1995年度の経腟分娩160例中21例(13%)の褥婦に排尿障害(排尿時痛・尿意欠如・排尿困難・尿失禁)がみられた。そのうちの5例は,1年経過後も尿失禁がみられた。これまで分娩後の排尿障害に関しては,産後の経過と共に軽快する一時的な症状だろうと軽視されがちであった。また,患者からの訴えもほとんどないため,問題点として取り上げられることは少なかった。
今回,妊娠20週時に助産婦外来において,尿失禁があることを初めて訴えてこられた人がいた。25歳の非妊娠時よりたびたび尿失禁がみられたが,誰にも相談せず自己対処されていた。しかし,その後妊娠し,妊娠週数が経過することにより尿失禁は増悪傾向となり,1人で悩み続けていたが,助産婦外来にて悩みを表出しはじめた。
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