特集 周産期のナラティヴ―助産師の語りの世界から
助産師の心。師長の気持ち
山本 智美
1
1聖母病院
pp.311-315
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100503
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看護者のおごり
Sさんは,切迫流産で入院し,長期の入院生活になっていた。正期産で無事出産することを目標に自分でできることは積極的に頑張っていた。けれども,彼女の頑張りが時に人間的な感情を押し殺しているかのように思えることもしばしばあり,私たちは心配をしていた。
カンファレンスでは,Sさんへのケアについていくつかの問題点があげられていた。そしてスタッフでできる限り,彼女の環境を整えていきたいとの意見が出された。しかし私には方法論がパターン化されていたり,もっと違う情報を集めたほうがいいのではないか,話の仕方によっては違う情報が得られ,別の展開もできるのでないか,と感じられることもあった。ただ,私は師長として,Sさんとは直接的にはかかわらず,実践場面はスタッフに任せていた。もちろん,ときどきはSさんの部屋を訪れ,お話をする機会もあったのだが,どちらかというとスタッフからSさんの情報を聞くことの方が多かった。
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