連載 やさしい社会保障 政策はだれのもの?・7
究極の少子化対策 男だって……?
八神 敦雄
1
1厚生労働省雇用均等・児童家庭局
pp.622-624
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100363
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胎児の世界
解剖学者三木成夫に『胎児の世界』という著作がある。学生時代に,これを題材にした講義を聴いた。「個体発生は系統発生を繰り返す」――母親の体内で胎児が成長する過程は,地球上の生命体が進化してきた悠久の歴史を再現しており,太古の海で誕生した生物があるとき上陸を果たして今日のヒトに至ったという痕跡を,胎児が変貌してゆくさまにみることができる,というのである。そう聞かされて33日目(だったと思う)のヒトの胎児がスライドで映された瞬間,息を呑んだ。胎児の顔は魚そのものだ。時間がたつにつれ,胎児の顔は生物の上陸をなぞるように,次第に両生類の顔に進化し,ついには哺乳類の顔へと変貌を遂げるのである。生命の神秘は奥深い【注1】。
選ばれるオス
クジャクの派手な羽根は,メスをひきつけるためのオスの飾りだ。模様の目玉の数が多いほどメスに選ばれるとよくいわれるが,目玉の数を数えた学者によれば,実際は違うようだ。しかし,鹿にしても角がオスにしかないように,多くの動物で,派手な色彩や目立つ体の部位を持っているのはオスだ。外見だけではない。オスのカエルは声の大きさや高さでメスにアピールし,ヨシキリ(鳥)のオスは歌がうまくなければメスに選ばれない。
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