特集 母乳外来からみる“お金とケア”の関係
助産サービスの質安全保証とコスト
水流 聡子
1
1東京大学大学院工学系研究科
pp.194-199
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100157
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「助産サービス」の「質安全保証」を左右するもの
●質安全保証
本稿では,妊娠・出産・育児開始を,家族も含め支援する助産師の活動を「助産サービス」と呼ぶことにする。また,安全は質を構成する重要な要素であるが,昨今の医療においては特に安全と質を保証するという点が重要と考えられる。筆者が所属する東京大学大学院工学系研究科の飯塚研究室と,早稲田大学理工学部の棟近研究室とで展開している,医療の統合質マネジメント(TQM)の共同研究においては,「医療の質安全保証」という表現を用いていることから,本稿では,「質安全保証」という表現を用いることとした。
状況変化に対するすばやい対応
産婦やその家族のニーズを的確に把握して,当該ニーズのあるうちに,当該ニーズに対応する質の高い助産サービスを提供できたとき,その病院・診療所・産院が提供する助産サービスに対する産婦の満足度は高くなる。助産サービスも看護サービスも無形生産物であり,クライエントの状態によって,そのニーズは刻々と変化する。特に出産時の助産サービスの場合には,独歩入院から手術室状態までが,半日くらいで進行するわけなので,産婦のニーズの激変が予想されるため,産婦の状態を正確に把握することが非常に重要となる。そこからのニーズの読み取りと,充足への対応を非常に早いタイミングで展開していく必要がある。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.