特集 母乳外来からみる“お金とケア”の関係
母乳外来の現状調査
①葛飾赤十字産院
唐仁 ゆかり
1
1葛飾赤十字産院
pp.200-202
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100158
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乳房ケア外来開設の経緯
当院は,都内唯一の産院として,また東京都地域周産期母子医療センターとして,年間約2,000件の分娩を扱っている。その中には地域の病医院からの母体搬送や,入院助産を受けている患者さんなど,さまざまな理由で当院での出産を余儀なくされた方がいる。その一方で,バースプラン・フリースタイル出産・家族立ち会い・母児同室・双胎対象のツインクラス・助産師外来など当院のさまざまな取り組みに興味・理解を示し,当院での出産を望んで来院される方も多い。出産に関しては,患者さんのニーズに応じた幅広いケアが提供されているが,出産と切り離して考えることのできない母乳育児に対してのケアは,乳房ケア外来開設以前は十分に行なわれていなかったようである。これまでは,産科外来でスタッフが通常業務のかたわら,乳腺炎などで来院した患者さんのケアにあたっていた。しかし,吸着困難などの継続したケアの必要な方に対して,双方の納得のいく対応ができなかったこともあったと聞いている。
このような現状を改善したいという使命感から,母と子の早期接触と早期授乳を定着させるために母児同室制を実施した。早期接触と早期授乳を実施したことで,退院後も母乳哺育の支援を継続するニーズが高まり,乳房ケア外来の開設に至った。
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