連載 行動変容を導く ナッジの利いた保健活動・4
ナッジ実践の枠組み,EAST
髙橋 勇太
1,2
,
村山 洋史
2,3
,
竹林 正樹
2,4,5
1横浜市健康福祉局
2横浜市行動デザインチーム(YBiT)
3東京都健康長寿医療センター研究所
4株式会社キャンサースキャン
5青森県立保健大学
pp.318-323
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201633
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はじめに
第3回では,「ヒューリスティクス」「情報・選択過剰負荷」「投影バイアス」をはじめとした各種バイアスについて説明しました。
私たちは,常に情報をフル活用し,合理的に意思決定しているわけではありません。大半の意思決定は,直感的に,スピーディーに行っています。この直感的判断には,一定の癖が付きまとい,そのため,時に不合理な判断をしてしまいます。
例えば「ヒューリスティクス」は,手に入りやすい情報や慣れ親しんだ情報を基に意思決定したり,代表的な特徴だけで全ての判断を下したりしてしまう傾向のことです。「情報・選択過剰負荷」は,情報や選択肢が多すぎると,意思決定が難しくなる傾向です。また,「投影バイアス」は,現在の状況を未来に当てはめてしまい,未来の状況を正しく見積もれない傾向です。いずれも,判断の際に脳で消費するエネルギーをできるだけ節約しようとするために起きるものです。
このような人の意思決定の癖の特徴を適切に理解しておけば,人の行動を予測できる確率が高まり,効果的な保健活動につながります。
第4回の達成目標
では,どのようなことをポイントとして,保健活動を計画・実施すればよいのでしょうか。それを理解するために第4回では,ナッジ実践の枠組みであるEASTを紹介し,以下を達成目標として設定します。
❶EASTの基本を理解する
❷EASTを活用する際の4つのステップを理解する
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