巻頭言
EASTとWEST
山口 徹
1
1東邦大学大橋病院第3内科
pp.111
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900998
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強心薬や抗不整脈薬の無作為比較試験がわれわれに残した「短期的に有効な薬剤も長期投与では有害であり得る」という教訓は貴重である.期外収縮の患者に以前ほど投薬しなくなったのは私だけではないと思う.しかし,全ての治療法について無作為比較試験が必要だとは思えない.急性心筋梗塞の心原性ショックに対する内科的治療とPTCAとの優劣を決めるのに無作為比較試験は必要ない.retrospective studyに基づく鋭い洞察力によっても優劣を判断できると思う.
さて,Gruentzigが初めて経皮的冠動脈形成術,PTCAに成功したのは17年前で,冠動脈バイパス術(CABG)の10〜15%がPTCAで取って代わられるであろうと予測した.現在米国ではCABGを上回って年間40万例に及び,わが国では米国の1/10であるが,CABGの5倍,診断冠動脈造影数の1/4に達している.もはや一枝CABGはほとんどなく,二枝病変もPTCAの対象となることが多い.左主幹部病変,三枝病変はCABGの適応とされることが多いが,その選択は施設により大いに異なっている.
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