連載 保健活動の現場を変えるEBPH エビデンスの探し方と活用の仕方・2
EBMに学ぶ,実践における疑問の見つけ方と可視化する方法
八重 ゆかり
1
1聖路加国際大学看護学研究科
pp.164-170
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201600
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
EBMの目指すところ
・EBMの誕生と広がり
科学的根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine:EBM)という医療界での潮流が1990年代初頭から始まって以来,約30年が経過した。この30年の間に「エビデンス」という言葉は,医療,保健,福祉分野にとどまらず,エビデンスに基づく教育実践(Evidence-Based Education)1),政策立案(Evidence-Based Policy Making)2)など,教育学や経済学などの,さらに幅広い学問分野でも用いられるようになり,今日では,それぞれの分野における活用方法やその功罪などの議論もなされている。
EBMという用語は,カナダのマクマスター大学のガイヤット(Guyatt)がACP Journal ClubのEditorial(巻頭言)にまさに「Evidence-based Medicine」という標題で発表した論文3)に始まるとされている。翌年,ガイヤット率いるEvidence-Based Medicine Working Groupは「Evidence-Based Medicine, A New Approach to Teaching the Practice of Medicine」と題する論文4)を発表し,医学における実践教育の手法としてEBMを提唱した。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.