連載 データをチカラに—看護の質向上のための電子カルテデータ利活用術・1【新連載】
看護の質の可視化が必要なわけと,データ可視化のコツ
松本 聡子
1
,
秋山 剛
2
,
長坂 雄太
3
1NTT東日本関東病院品質保証室
2世界精神保健連盟
3公益社団法人日本看護協会医療政策部看護情報課
pp.332-337
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350040332
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はじめに
皆さんは,電子カルテに蓄積されたデータを抽出・処理・集計しようとした際に,困り事に遭遇したことはないでしょうか。
電子カルテデータの利活用は,看護の質向上のためには欠かせません。しかし,電子カルテはもともと,臨床の記録や作業を便利にすることを目的としているため,データを二次利用する上で便利なようには設計されていません。そして,二次利用する上で便利になるように臨床スタッフに診療情報を記録してもらうことは,往々にして,臨床スタッフの情報入力負担が増加するなど,電子カルテの一次利用における利便性低下につながりがちです。加えて,当然ながら,臨床スタッフは電子カルテをはじめとする医療情報システムや,データ分析の専門家ではありません。そのため,データ処理・集計の段階で困ってしまう場面に遭遇し,「電子カルテからデータを抽出・処理して二次利用することは無理だ」と諦めてしまうこともあるのではないでしょうか。
本連載では,こういった困り事に対処するための方法をご紹介します。NTT東日本関東病院などで蓄積されたノウハウに基づき,どのようにすると電子カルテから有用なデータを抽出・処理し,利活用することができるのかや,電子カルテの一次利用と二次利用の利便性が両立し得るのかについて,分かりやすく解説します。

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