特集 研究法
―研究テーマの見つけ方―まず疑問をもつこと
佐藤 剛
1
1九州リハビリテーション大学校
pp.593-595
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101275
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はじめに
研究テーマを見つけようと意識的に突然考え出しても無理である.確かに研究しようとしても“研究者”に突然なれるものではないし,それ相当の準備,意欲そして創造力が要求される.先天的に研究者として生れ育った者は極く少いし,殆んどの“研究者”は何らかのきっかけで,ある研究的仕事を始めたのが出発ではないかと思う.私はテーマの見つけ方を論理的に説明することはできないので,私の経験をもとに頭に浮んでくるもので関係あるものと思われるのを列挙し,それに対し簡単に私見を述べることにする.
一般に我々がある具体的なテーマで研究を開始する必須条件として,何かに“疑問”をもたなければならない.すなわち“これは一体なぜ起こるのか”,“なぜそうなるのか”,“一体どのような状態なのか”等という質問をし,次にそれに対し,“では私はこれはこうである(と思う)”というひとつの自己仮説を打ち立てることになる.ここに“オリジナリィティ”という性質をもった研究の開始があると思う.ではそこまで到達する過程にはどのようなことがあるか,私なりに考え,1)自己の専門領域の決定,2)研究は日常の記録から,3)患者から,4)研究者からの影響,5)文献(論文)からの影響,6)継続研究,について考察してみたい.
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