巻頭言
〈できること〉の見つけ方
福田 正人
1
1群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学
pp.458-459
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205173
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「メンタルヘルス・サービスの質」,「移民のメンタルヘルスケア」,「メンタルヘルス・サービスにおける信頼の確立」,「精神科医の役割と責任」,「精神医療と精神科医のイメージの向上」。これらはいずれも,ヨーロッパ精神医学会(European Psychiatric Association;EPA)が2012年からその機関誌であるEuropean Psychiatryに掲載を始めた,ガイダンスシリーズ(EPA Guidance Series)のタイトルである。EPAは,37か国の40学会が構成するヨーロッパの組織である。
エビデンスとそのメタ解析にもとづくガイドラインが広がってきたが,エビデンスは十分でないが臨床的には重要なテーマ,ガイドラインはあるが実践されずに本棚にしまいこまれている現状,そもそもエビデンスという考え方が馴染まない分野は数多い。そうした現在のガイドラインが及ばないテーマについて指針を示そうとするのが,このガイダンスシリーズである。その背景には,「最善の臨床実践はエビデンスと経験の両者にもとづく」という臨床の知恵があり,それを支えるのは「精神疾患を持つ患者への精神科サービスの質を向上する(improve the quality of psychiatric services for patients with mental disorders)」という簡潔な言葉でその使命を表現するEPAの覚悟である。ガイダンスは,行動の指針を示すとともに,これから取り組むべき研究テーマを明確にすることを意図しているという。
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