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鶴岡市の保健師活動の歴史で特記すべきこととして,現在の総合保健福祉センター(以下,保健センター)が建設される2010(平成22)年まで,鶴岡市の郊外地域のコミュニティセンターに,保健師が地区駐在制をとっていたことがあります。地区駐在制では,住民組織の基盤になっているコミュニティセンターに保健師の机があり,地区担当活動の拠点となっていました。コミュニティセンターに机があるということは,単に物理的なことだけでなく,地域住民にとって保健師が身近な存在となります。一方,保健師にとっても地域に居場所があることを示していたと思います。この歴史を受けて,現在も合併した町村の庁舎地域担当制(駐在制)をとり,本庁以外に旧町村の5庁舎に9人が勤務しています。鶴岡市の保健師活動を語る時,昔の駐在制の保健師活動をしてみたかったという,若い保健師の声を聞くこともあります。
現在の保健師活動を体系的に見ますと,地区担当制と係業務担当制の「二足のわらじ」をはき,活動拠点を保健センター(本所)とコミュニティセンター(鶴岡地域21地区)と庁舎(5地域)に置いています。地区担当制では,個人・家族・地域を対象とした活動を行い,①一定の地区を基盤とした生涯にわたる健康づくり活動,②顔が見える・信頼できる関係,③個を見る・生活を見ることに焦点を置いています。係業務担当制では,各係を中心に全市における健康づくり活動の展開を目標としています。この「二足のわらじ」による保健活動の中で,個人から家族,集団や組織,地域を丸ごと見ていくことと,全市的な取り組みを横断的に捉える力量形成を期待しています。また,組織としてこの体制を維持するとともに,地域を複数の目で見ていく体制の確立や効果的なジョブローテーションなどが課題であると考えています。
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