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はじめに
埼玉県鴻巣保健所(以下,当保健所)の管轄区域は,4市1町(鴻巣市,上尾市,桶川市,北本市,伊奈町)である。ほぼ首都圏50km圏内,埼玉県の中央に位置しており,管内面積は172.91km2,管内人口は53万2569人(2018〔平成30〕年4月1日推計人口)となっている。
当保健所の組織は,所長1名,副所長1名,総務・地域保健推進担当7名,生活衛生・薬事担当11名,保健予防推進担当18名となっており,保健師は保健予防推進担当に8名が籍を置いている。精神保健に関する業務については,4名の保健師(担当部長1名,担当課長1名,主任1名,技師1名)が母子保健業務と兼務して担当している他,精神保健福祉士2名が配置されている。
当保健所はかねてから,管内の措置入院者に対して地区担当者が中心となり,事例の重大性,受療状況,家族関係などの状況に応じた支援を行ってきた。2015(平成27)年度においては措置入院者35名に対し,措置解除前に病院に出向き,本人および家族との面接を実施したり,退院に向けた環境調整の相談に応じたりしていた。
一方,通報件数および措置入院者数は年々増加し(図1),初期介入の機会が夜間休日の措置入院(埼玉県精神科救急システム)となるものも多く,従来の介入方法を見直す必要が出てきた。また,世論(2016〔平成28〕年7月の神奈川県相模原市の事件等)の高まりも鑑みて,保健所のフォロー体制をより明確に「見える化」していく必要があると考えた。
行政では,どの業務分野においても業務の効率化が求められる。しかし,効率化を優先するあまりに保健活動の質が低下してはならない。そこで,「効率化」を意識した「見える化」に取り組んだ。その概要と,そこから得られた保健活動を行う必要と考えられた視点について概説する。
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