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保健師には調査研究能力が不可欠であり,それを身につけるためには修士レベルのトレーニングが必要,という考えから創設された東京大学大学院の「保健師コース」。コース発足にあたり,その内容を紹介するとともに,現行の保健師教育制度の限界を考察した。
東京大学に開設された「保健師コース」「看護師コース」の概要
東京大学大学院医学系研究科では,2006(平成18)年4月1日から健康科学・看護学専攻の修士課程に「保健師コース」と「看護師コース」を開設した。これは,従来の研究者養成コースに加えて,高度な知識・研究能力をもつ保健師や看護師を輩出することを目指すものである。保健師コースは,将来行政などの保健師となる人を育成するコース,看護師コースは,現職看護師が修士課程で専門的な知識と技術を磨き,再び臨床に戻り,フィードバックするためのコースである。
「保健師コース」が受け入れるのは,看護系の大学などを卒業して保健師の資格をもつか,保健師国家試験受験資格をもつ学生で,入学時には看護師国家試験に合格している必要がある。「看護師コース」は,3年以上の実務経験がある看護師が対象である。とくに,大学病院など高度先進医療機関に勤務する看護師を対象とする。看護の臨床における技術向上を目的に,5つの領域(創傷看護・移植看護・退院支援・家族心理看護・看護マネジメント)について理論と実習を統合して学ぶ。修了後は現職復帰を前提としており,受験のためには職場上司からの推薦状が必要である。
両コースとも,修士課程2年間で,「30単位+修士論文」を修めることにより,修士(保健学)が授与される。募集定員は,両コース合わせて約10名。最初の入学試験が2006年2月に行われた。
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