看護教育研究
助産師養成課程における性教育実習
大西 祐紀子
1
,
奥 陽子
1
,
藤井 美喜
1
,
郷原 寛子
1
1兵庫県立総合衛生学院助産学科
pp.290-295
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100287
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はじめに
厚生労働省は,2000年11月,21世紀の母子保健の主要な取り組みを「すこやか親子21」として取りまとめた。「すこやか親子21」の主要課題のひとつとして,思春期の保健対策の強化と健康教育の推進があがっている。
その背景には,十代の性交経験率の上昇とそれに伴う人工妊娠中絶件数や性感染症罹患数の増加があり,思春期にある子どもの心身の健全な発達を促進するために,「思春期の性」に関する健康教育の必要性が強調されている。そのことをうけて,学校教育においても正式に性教育が行われるようになってきているが,その内容に対しては多様な見解が存在しており,性教育が定着しているとはいえない状況である。また,「性の具体的な場面」については学校の教育力に限界が生じることもあり,よりよい教育効果を求めて学校外の教育力の導入が必要である1)とも言われる。石川2)は,外部の専門職の助言は効果があり,性に関連した専門家の役目の重要性について再認識したと自身の実践報告のなかで述べている。
助産師は,「性と生殖の専門家」でもあり,「人間の性:セクシュアリティ」についての健康教育を担うのに適任である。そのため,最近では助産師に対して性教育の実施依頼があり,学校での性教育に携わる助産師の報告が出てきている。本稿では,時代の要請に応えて,広い視野に立ち,自らの専門性を活かせる助産師の養成をめざして実施した性教育実習について報告したい。
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