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はじめに
乳幼児健診において,保健師が「気になる子」として捉えながら,その後の支援につながらない場合がある。発達障害者支援法における発達障害とは,知的に遅れのない障害であるとされ,発達の「遅れ」に着目した乳幼児健診では,対応しきれない部分があると考える。そのため,「発達の遅れはないが落ち着きはない」「発達の遅れはないが対人関係に問題がある」といった視点を健診にもち込み,その後の対応も含めて支援できるようにする必要がある1)。
このような現状を踏まえ,保育園や幼稚園に入園後,集団生活の中で発達上の特有な症状を呈する子どもを早期発見することを目的として,母子保健法では定められていない5歳児健診を実施する自治体も増えてきている。
われわれは発達障害児の早期支援・支援継続のための保健師による支援の指針を得ることを目的とし,乳幼児健診後に療育機関の支援を受けている発達障害児の保護者に対し,支援につながるまでの保健師による支援について,これまでに調査を行ってきた。その中で,保健師の支援とは,多職種の支援を視野に入れることにより,それぞれの専門性を活かした連続性のある関わりを調整していくものであると考えられた。また,発達障害が危惧された子どもと家族に対して,保健師が直接支援するだけでなく,それぞれの専門性を活かした連続性のある関わりの調整としての多職種による支援についても保護者への面接調査から聞き取ることができた。
発達障害児の早期支援・支援継続のための保健師による関わりの中で,保育士や療育機関の職員,医師,巡回相談心理士など多職種による支援を視野に入れてなされた保健師による支援について検討したので報告する。
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