特別記事
地域・職域連携を推進するためのシステムづくり―システム工学の視点から
横山 淳一
1
1名古屋工業大学大学院社会工学専攻
pp.140-145
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200376
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はじめに
コンピュータの分野では,「システム」という単語は非常に多くの場面で用いられており,コンピュータシステム,情報システム,ネットワークシステムといったように使われています。一般に,単に「システム」と言う場合,何らかの「コンピュータシステム」あるいは「情報システム」が想起されます。
一方,保健・医療・福祉(介護)分野においても,2012(平成24)年度の介護保険制度改正以来,「地域包括ケアシステム」というように「システム」という言葉を頻繁に耳にするようになっています。厚生労働省のホームページ1)では,「地域包括ケアシステム」は「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される」ものとして説明しています。
この「システム」という言葉(概念)は,コンピュータの分野だけでなく,あらゆる分野において,複雑なしくみや現象の本質を捉えるために単純化したり,概念的・抽象的なものごとを詳細に分析や設計をしたりする際に役立ちます。
本稿では,はじめにシステム工学から「対象(ものごと)をシステムとして捉えて考える」システム思考を紹介します。続いて,とくに筆者がこれまで関わってきた地域・職域連携システムを具体例としながら,その考え方をわかりやすく説明します。
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