調査報告
住民主体による「高齢者生きがい活動」の有効性―高知県土佐町の試みから
福富 江利子
1
1京都大学東南アジア研究所
pp.606-610
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200212
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2006(平成18)年に介護予防事業が法制化され,事業後の評価報告が必須となった。学術的には,二次予防高齢者をスクリーニングする基本チェックリストの妥当性や評価1-3),介入効果も検証されている4-6)。しかし,各自治体の事業実績は市町村によってばらつきがあり,人員不足等の理由により実施率も事業によって異なる7)。ボランティア等の人材育成,活動組織の育成・支援を主とした地域介護予防活動支援事業も同様に実績報告のみにとどまり,加えて,住民が運営主体となった地域活動の効果を示した報告は少ない8)。
世界で類を見ない速さで進んでいるわが国の高齢化において,健康寿命をいかに長くできるかは重要な課題であり,それを実現するためにはマンパワーの確保が最も重要である。限られた専門職の一方向な介入のみではなく,住民が主催者に加わり,主催側と参加者に相乗効果が期待できるような介護予防活動が,今後さらに重要となるだろう。
高知県土佐町では,上記法制化に伴い,2006年から町と社会福祉協議会の協働のもと,住民主体で運営し,運動や知的活動,世代間交流等を織り交ぜた生きがいづくり活動(通称:とんからりんの家)に取り組んでいる。今回,この活動への長期的参加が日常生活機能の維持に効果があることを確認したので紹介する。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.