資料
高知県土佐市における腸チフス流行
腸チフス中央調査委員会
pp.206-211
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204641
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高知県土佐市においては1970年以降腸チフスの流行が目立つ.1970年11月10日発病,同月16日診定の患者1名につづき同年12月に1名,翌1971年1月には3名の保菌者が発見され,同じく2月にも患者1名の発生を見た.以上6名の内5名から分離されたチフス菌はただちにファージ型別に供されたが,すべてK1型であることがわかり,明らかに一つの系統に属することが示唆された.この型がわが国で分離されたのはこれが最初であることもあって,その経過が注目されていた.ところが,ひきつづいて同年2月に1名,3月に4名発生した患者からの菌はD1型であることがわかり,流行は複雑な様相を呈するに至った.その後同年8月にもD1型菌による患者が1名発生した.
調査の結果,以上の患者・保菌者のうちD1型菌によるものはすべて同市立市民病院に何らかの関連をもつものであることがわかった.前半のK1型流行とこのD1型の流行との関連が鋭意究明されたが,特に両者を結びつけるべき事実の浮び上らないまま,K1型の発生は終熄した.一方,D1型による流行は1972年にも尾を引き,2月から3月にかけて4例の発生を見るに至った.これらのいずれもが同病院に関係しており,明らかに施設内集団発生の様相を呈している.
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