連載 [事例集]新しい健康日本21へのヒント・19
セーフティネット構築に向けた民間団体との協働―新潟市の自殺対策におけるソーシャルキャピタル醸成
青柳 玲子
1
,
稲葉 陽二
2
1新潟市保健衛生部こころの健康センターいのちの支援室
2日本大学法学部
pp.1000-1007
発行日 2014年11月10日
Published Date 2014/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200023
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はじめに
新潟市(以下,本市)の自殺死亡率は,全国平均よりやや高い水準を推移しており,全国と同様に減少傾向にあるものの,政令市の中では自殺死亡率が高い水準にある。2013(平成25)年厚生労働省人口動態統計によると,本市の自殺死亡率は21.7(人口10万人対)であった。その内訳として,男性では働き盛りの年代が多く,女性では高齢者に多く,これらが課題となっている。なお同じ時期の新潟県の数値も26.1と都道府県の中でも高い水準にあり,全国では20.7であった。
本市では2009(平成21)年に自殺死亡率が26.7と急増した際,その事態を重く受けとめ,自殺対策を市の重点施策に掲げ,全庁的に取り組んできた。その中で施策につなげる重要な会議として新潟市自殺対策協議会(以下,協議会)を設置し,対策の充実に向けた検討を行ってきたが,各団体の代表をメンバーとする大きな会議では時間も限られ,具体的な検討は難しいとの課題が出てきた。
そこで,実務者レベルで具体的な対策を検討する会議として,自殺未遂者対策などの作業部会と併せ,新潟市自殺対策実務者ネットワーク会議(以下,実務者ネットワーク)を立ち上げた。この実務者ネットワークが,本市の自殺対策におけるソーシャルキャピタルの醸成に,大きな役割を果たしているので,その活動を報告する。
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