沈思黙考
ソーシャルキャピタル
林 謙治
1
1国立保健医療科学院
pp.911
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102596
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少子高齢化の急速な進展はわが国の社会システムを大きく変えようとしている.健康問題の側面からとらえれば,対策の焦点は健康寿命の延伸である.がん,脳卒中,心疾患などが主要疾患であるので,当然のことながら生活習慣病の予防が鍵となる.生活習慣病の予防対策は,生活全般にわたる過ごし方が問題となる.したがって,行政の対応は健康・衛生部門の取り組みだけでは不十分であり,オール・セクターの協働が求められる.さらに言えば,行政の枠組みを超えて民間団体とのネットワークを含めて活動方針を構築する必要がある.
経済に目を転じてみれば,政府財政は危機的な状況にあり,地方自治体にも大きな影響を及ぼしている.地方経済自体の停滞とあいまって,多くの事業を縮小せざるを得ない状況にある.実際,全国の保健所数はかつての約半分の500弱までに減少し,定員削減は現在でも続いている.このように長期にわたる経済の停滞から抜け出せないために,政府のガバナンス・システムにも疑問の声が出はじめ,地方分権の流れがますます加速化しているように見える.
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