連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・17
日本看護学会「ヘルスプロモーション」領域始動
中板 育美
1
1日本看護協会
pp.999
発行日 2014年11月10日
Published Date 2014/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200044
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去る8月28日(木),29日(金)の両日,熊本県立劇場において,高島和歌子学術集会長(熊本県看護協会長)のもと,メインテーマに「火の国発 健康な社会の創造 つかむ!すべての人々の健康を つながる!看護の力で」を掲げて,日本看護学会のヘルスプロモーション領域が開催されました。これまで日本看護学会は,看護総合,小児看護,母性看護,成人看護Ⅰ・Ⅱ,老年看護,地域看護,精神看護,看護管理,看護教育の10の領域に分けて開催されてきました。今年度から心機一転,ライフサイクルや病理で区切るのでなく,より総合的にとらえる考え方を推進するために,下線の4領域を統合し,「ヘルスプロモーション領域」として産声を上げました。
基調講演では,順天堂大学大学院の島内憲夫氏が,オタワ憲章にさかのぼり,3つの戦略「Advocate(支援する),Enable(能力を与え,可能にする),Mediate(調停・調整する)」と,健康的な公共政策,健康を支援する環境,地域活動の強化,個人スキルの向上,ヘルスサービスの方向転換など,常に優先されるべき5つの拠り所をおさらいしました。オタワ憲章から28年が経過した今でも,全く色褪せることのない理念であることを再認識するとともに,健康は目的ではなく,自らのQOLを維持・向上に導く1つの資源であり,だからこそセルフケア能力を上げ,「自分は(そこそこ)健康である」という主観的な健康感を保てることが重要なのだと,「目からウロコ」だった25年前を思い出しました。
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