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はじめに
大阪市においては「すこやか大阪21」1)が策定され,生活習慣病対策が進められており,その趣旨に沿って鶴見区においても生活習慣病予防対策を展開している。
鶴見区の人口構成の特徴として,生産年齢人口が年々減少し,老年人口が増加している傾向がみられるものの,出生率が2010(平成22)年において11.8と大阪市において第1位であり2),子育て世代が多い。
親の生活習慣については,子どものさまざまな生活習慣に影響を及ぼすことが指摘されている3-5)。たとえば食習慣では,食事時間の規則性や,何かしながら食事をすること,間食などの習慣が,母親と子どもとの間で関連性があると指摘されている6)。また,子どもの遅寝と母親の起床時刻との関連7,8)など,睡眠習慣においても母親と子どもの関連が報告されている。さらに10年間の追跡研究から,子どもが3歳の時の両親の適正体格からの逸脱が,10年後の児の適正体格からの逸脱,さらには血圧値にまで影響する可能性が示唆されている9)。
生活習慣は幼いころから培うものであるため,保護者,とくに母親の役割は大きいものである。しかしながら乳幼児を育てる母親は,多忙な子育ての日々のなかで自分自身の健康づくりや生活習慣について振り返る機会をもつことが難しいと考えられる。よって,母親自身に対する生活習慣病予防についての早期からの働きかけは,児の適切な生活習慣の形成に有効と考えられる。
これらのことから,鶴見区では2008(平成20)年にアンケート調査を実施し,乳幼児を育てる母親の生活習慣の実態と子育て状況との関連について検討し,本誌にて報告した10)。調査の結果からは,子育ての負担感が強い母親ほど,望ましい生活習慣が保ちにくいことが示唆され,子育て世代の母親の生活習慣病対策を考える際には,子育て支援との連動が必要と考えられた。
そこで,子育て支援と生活習慣病予防対策との連動をねらった健康教室を企画・実施し,その効果を評価するとともに,子育て世代の母親への効果的な生活習慣病対策について検討したので報告する。
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