特集 学校保健の実際
学校歯科—横浜市鶴見区学校保健会の実践活動
内藤 真一
1,2
1横浜市学校歯科医会
2横浜市学校保健会鶴見支部
pp.268-270
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205820
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■はじめに
近年"よい歯の学校表彰"の成果を見ても,う歯の処置率が大変上がり喜ばしいことであるが,一方,文部省の調査によると,う歯を持つ者が小学生で93.4%,中学生で93.5%,未処置の者がそれぞれ78.5%,64.0%と手のつけようもないような数字が出ている.処置歯は増えたが,う歯は減らない.これではのれんを押すようなもので,今までのようなやり方,考え方では,保健関係者が日夜努力してもその成果を上げることは不可能ではないかと思われる.
では,その問題点はどこにあるのだろうか.一般社会では学校保健とは,怪我をした子供の手当て,気分の悪くなった者の処置,歯科ではう歯の処置勧告,フッ素の塗布くらいにしか思われていないのではないだろうか.学校保健の本当の目的は,子供の健康の保持・増進であることは勿論だが,自分で自分の健康を管理できるように教育するのが学校保健の真の目的であると考える.アメリカでは,高校を卒業するまでに,将来親になったとき歯科に対してどのように子供を育て,しつけるかということまで教育される.わが国ではどうか.教師を養成する大学ですら,歯科の教育がなされていない.保健関係者が長年にわたってその非を指摘し,要望を続けているが,改善されない.教師は自分で進んで学ばない限り,歯科に関しては素人なのである.これは致命的であると思わざるを得ない.
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