調査報告
市町の母子保健事業に関する住民からのクレーム(苦情)の実態と保健師の受け止め
深江 久代
1
,
杉山 真澄
2
,
杉浦 寿子
3
,
島村 通子
4
,
高林 智子
5
,
伊藤 純子
6
,
鈴木 知代
6
,
村松 智子
7
1静岡県立大学短期大学部看護学科
2静岡県賀茂健康福祉センター
3静岡県中部健康福祉センター
4静岡県警察本部警務部厚生課
5浜松市精神保健福祉センター
6聖隷クリストファー大学
7焼津市保健センター
pp.424-432
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101869
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■要旨
本稿は,市町保健センターにおける住民からのクレームの実態と保健師の受け止めを明らかにすることを目的として,静岡県内で協力の得られた市町保健センターで母子保健に従事する保健師271人を対象として,郵送法による質問紙調査を行った。その結果,193人(回収率71.2%)より回答が得られ分析対象とした。
分析対象者の経験年数は35%が5年未満であった。1年以内にクレームを受けたことのある者は60.6%で平均3.3回クレームを受けていた。クレームを申し立てたのは,利用者本人(乳幼児健診などでの母も含む),方法は電話,クレームの起こった場面は健康診査が最も多かった。クレームの内容は制度・体制に関するもの,事業の実施方法や連絡に関するもの,保健師の援助技術や姿勢に関するものなど多岐にわたっていた。
クレームに対する保健師の受け止めは,クレームを業務の改善,自分の成長になるため,住民の貴重な意見として前向きにとらえてはいるものの,精神的にダメージが大きく,クレーム対応の研修や,職場としての体制の構築を期待している実態が明らかとなった。クレームが保健師の援助技術の向上や業務改善につながるものになっていくための体制づくりが急務である。
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