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はじめに
国民の健康課題は,生活習慣病や介護予防,虐待や自殺,DVへの対応,さらに感染症や災害に対する対策など,地域保健,産業保健,学校保健などの多分野にわたり多様化,深刻化している。このような状況に対応できる保健師養成の必要性から,2009(平成21)年7月9日には,保健師教育の年限を6か月以上から1年以上に改正する保健師助産師看護師法(以下,保助看法)が成立した(同年7月15日公布,2010[平成22]年4月1日施行)。この時,同時に助産師教育が1年以上に,看護師の国家試験受験資格として「4年制大学を卒業した者」が1番目に明記され,4年制大学卒業を看護師の基本とする方向性が示されたことも記憶に新しい。
厚生労働省は2005(平成17)年度末に「看護基礎教育の充実に関する検討会」を立ち上げて以来,「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」「看護の質の向上と確保に関する検討会」において看護教育の充実と改善の方向性について検討を続けており,2009年4月には,さらに具体的な教育のあり方を検討する「看護教育の内容と方法に関する検討会」(以下,同検討会)を設置していた。おりしも改正された保助看法。これを受けて,同検討会では保助看3つのワーキンググループを設置して,保健師・助産師においては「修業年限1年以上の教育内容」についての検討を行った。
筆者はこの2年間,同検討会およびワーキンググループ委員として全国保健師教育機関協議会(以下,全保教)副会長の立場で参加することができた。保助看法改正から保健師助産師看護師養成所指定規則の改正へと,保健師教育の変革期において,それに影響する貴重な経験をさせていただいたことは非常に感慨深い。本稿では,保健師教育改正の焦点と今後の方向性について私見を交えながら述べてみたい。
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