研究
日本の結核対策における地域組織活動の継続要因に関する研究―結核予防婦人会活動の事例分析
秦 麻希子
1
,
大友 優子
2
1奈良県医療政策部保健予防課
2鹿児島大学
pp.224-231
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101553
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
■要旨
日本の結核予防婦人会活動は,結核対策における地域のエンパワメントと地域組織活動の継続性の2点において意義がある。本研究は結核予防婦人会活動の継続要因を明らかにすることを目的として2段階の調査を実施した。近隣で,訪問可能な結核予防婦人団体4団体を対象にした組織調査と,構成員を対象にした個別調査である。2調査のデータを統合し,継続要因を質的に分析した。
明らかになった継続要因は「健康への高い関心」「地域への関心」「ボランタリー精神」「一致団結」「前向きの姿勢の循環」「周囲からの信頼」「活動実践をとおした組織の成長」「組織存続の志向」「多機関の協力・支援体制による活動しやすい環境」であった。組織は活動実践のなかで,活動の質を見直す経験をとおして組織自体を成長させていた。さらに,構成員は組織の成長を実感することで団結を強めるとともに,組織活動存続の志向を抱いていた。また,保健所や結核予防会などの多様な支援者の存在は組織にとって活動しやすい環境を生んでいた。
結核予防婦人会活動の継続要因の特徴は,①保健所や結核予防会など多様な支援者の関与,②構成員は組織の歴史をつなぐ意識が強いこと,③活動の量重視から質重視へと意識転換を図っていること,の3点であると考える。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.