原著
婦人性器結核の臨床的研究(I)
水谷 佐
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.735-747
発行日 1955年8月10日
Published Date 1955/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201223
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緒言
本症の臨床的研究は,9世紀の半ば近くAnd-ral(1830),Reynaud (1831),Schlitz (1840),Frank(1841),Pichard (1846),Lisfranc (1848),Robert1)(1848)等こ始まり,19世紀後半に至りHegar2)(1862)が本症を臨床的に独立した疾患として体系づけたのをはじめ,多くの発表が見られた。Steven1)(1883)はR.Kochの結核菌発見の一年後にはじめて本菌を性器に証明した。本世紀はじめに至りKrönig3)(1911),G.A.Wa-gner4)(1913)に依つてHegar以来の外科的治療が保存療法に代り,其の後多くの臨床的組繊学的研究5〜8)や綜説9)〜12)が発表された。ダグラス窩乃至腫瘍穿刺液の検鏡,培養,動物試験に関する研究7)13)〜19)や子宮卵管造影法(以下造影法と略記)に於ける本症特異像に就いても種々の報告20)〜31)173)が見られる。培養法はHalbrecht32)(1946)の月経血乃至頸管分泌物のPetrognani培地を用いての報告以来,欧米でも漸く行われるに至り,27)33)172)174)184)192)殊に後者に就ての培養がDie-tel34)(1953)の綜説でも動物試験と並んで重視されるに至つた。近年ドイツでは,一般的並びにレントゲン療法が益々重視されている。
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