原著
婦人性器結核の臨床的研究(II)
水谷 佐
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.809-826
発行日 1955年9月10日
Published Date 1955/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201239
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4.モルモツト接種法
1)緒言 本法は現時尚欧米に於いて診査掻爬内膜の組織検査と共に最も行われている27)32)106)112)113)172)177)178)方法であるが,篠田44)は雑菌混入,動物発死等の他に高価な事,多数材料に就いて行い難い事等から,菌型の決定,病理及び疫学的研究の目的以外には残念乍ら本邦では行われ難いとしているが,余は本法を実施して好成績を得た。近時抗生物質の療法が進んで来るに従い菌培養や染色標本調査で陰性に拘らず動物接種に依り陽性のものが見られるに至り今後やはり実施すべき方法と考えられる。
2)材料及び方法 子宮内膜乃至腟部片,頸・腔内容,月経血,子宮内洗液,ダ窩穿刺液等に就き培養を行つた残部約1cc (培養時苛性曹達及び硫酸で処理したものは夫々塩酸及び苛性曹達にてしかるべく中和)を100倍ツ反応陰性,成熟(350g内外)のモルモット2匹を用いてその大腿内側又は下腹部皮下,時に頸部淋巴腺内に注射し鼠蹊淋巴腺や頸部淋巴腺等領域淋巴腺の腫脹化膿を毎週検査し,2週目よりは10〜100倍ツベルクリン液にて週1回陽性になる迄ツ反応を検査し,陽否に拘らず撲殺前には全例ツ反応を実施し(第3週及び第6週にはそれ迄100倍ツ反応にて陰性のものに10倍ツ反応を実施),之等の陽否に関係なく第6週後之を撲殺し領域淋巴腺の結核性変化を塗抹染色標本,組織学的検査,組織培養法等に依つて追求した。
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