特集 結核保健指導の再検討
結核訪問活動の検討
松野 かほる
1
1国立公衆衛生院
pp.27-30
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203429
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はじめに
結核の治療も対象療法のみで,しかも患者に対する働きかけの大部分が保健婦の肩にかかっていたころから比較すると,現在の活動はひじょうにやりやすく科学的な計画のもとに実施しうるようになったといえる.すなわち,正しい治療を受けさせるための積極的な指導はいうまでもないが,感染,隔離の問題にしても化学療法を正しく行なえば比較的すみやかに菌は陰性化しうるし,医療費などの問題も各種の法改正により好転し,また患者の現状把握も患者管理の実施によってまだ困難な問題は残っているにせよ,どうしようもないということがらは少なくなり,やればなんとかなるという段階に至ってきた.
さてこのように結核対策が整備され,推進されるに伴なって,保健婦は必要な患者に必要な指導ができることを期待したし,周囲からも期待されたであろうと思うが最近,そこごこで「結核の訪問がとおり一ぺんで機械的に流れているような気がする」という声を耳にするようになった.「患者管理実施以前のほうが悩みは多かったかもしれないが,看護サービスという点ではよくやられていた」という発言もある.このことはいったいなにを意味するのであろうか.筆者らが患者管理研究委員会に出席していたころは,この管理システムが確立すれば少なくとも訪問を必要とするケースはクローズアップされ,これらに対して保健婦本来のキメのこまかい保健指導ができるであろうと考え,のぞんでいたものである.
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