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はじめに
宮城県仙台市泉区は,1988(昭和63)年に旧泉市が仙台市に合併し,1989(平成元)年に区制が施行されて「泉区」となった区域で,仙台市北部,宮城県のほぼ中心に位置している(図1)。泉ヶ岳や七北田川などの自然環境に恵まれる一方で,泉中央地区を中心とした都市機能を併せもち,区域は東西に約21.4km,面積は145.78km2である。2010(平成22)年4月現在で人口21万437人,高齢化率は17.6%。1960年以降区域東南部の丘陵地で住宅開発が進み,以後,区の中央を流れる七北田川を挟んだ北西部丘陵地を中心に大小新旧の住宅地が形成された。今後急激な高齢化率の増加が予測される。
泉区では,老人クラブや子ども会,町内会,体育振興会,地区社会福祉協議会など,それぞれが活発に活動している。その一方,さまざまな健康づくりの支援を行うなかで,各団体が対象者や役割分担を重視するあまり,その活動の多くは世代間の交流が少なくなっている状況にある。もっと多世代でふれあう地域づくりが必要と考えていた時期に,仙台市コミュニティビジョンにもとづく地域コミュニティ活性化事業*が示され,標記にもとづく事業を区役所3部協働で実施することになった。
また,泉区では地域の高齢者サロンに軽運動を取り入れたことで活動が活性化し,参加者がいきいきとなった事業の経験から,コミュニティづくりに健康の視点と楽しい軽運動を取り入れ,単一世代ではなくさまざまな世代が交流できる事業展開を計画した。
今回,1962(昭和37)年から団地造成されたN地域をモデルに,健康づくりの視点から地域コミュニティの活性化にアプローチしようと考えた。事業の目的は,地域のさまざまな世代が交流すること,そして顔なじみの関係をつくり,災害などいざというときに支え合う人のつながりができることをめざしている。
宮城県は,近い将来高い確率で大地震が到来すると言われている。この事業を区内全域に展開しながら,地域づくりに併せて,災害時に助け合う関係づくりや自主防災意識の醸成,そして軽運動によるエコノミークラス症候群の予防にこの事業を活用し,コミュニティが元気になることを検討しているので報告する。
仙台市泉区ではさまざまな健康づくりの支援を行うなかで,世代間の交流をとおした取り組みが必要と考えた。そんなおり,仙台市コミュニティビジョンにもとづく地域コミュニティ活性化事業が示され,そこから「泉ふれあいエクササイズ」が生まれた。コミュニティづくりに健康の視点と楽しい軽運動を取り入れることで,単一世代ではなくさまざまな世代が交流できる事業展開ができるように計画されている。
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