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はじめに
現在,滋賀県では工場地帯を中心に多くの日系ブラジル人やその配偶者が働いています。県内のブラジル人を年齢別に見ると,20代から30代が約半数を占め,10歳以下の子どもの割合も高く(図1),これはブラジル人が家族とともに日常生活を送っていることを表しています。このような背景から,ブラジル人住民の割合が高い地域では,ブラジル人の子どもや保護者が安心して乳幼児健診や離乳食教室などの保健サービスを利用できるよう,保健センターに通訳が配置されつつあります。
通訳を介して,保健師や栄養士などのスタッフがポルトガル語で育児や離乳食の進め方などを丁寧に説明できるようになり,ブラジル人の保護者にも好評を得ているようです。しかし,育児や食事はその国の文化によって違いがあるため,保健師や栄養士はブラジル人の保護者に対して日本人と同様の説明で十分かどうかを心配していました。
異文化ケアについて勝井1)は「実際に保健師として最も問題を感じるのは何かという問いに対して,言葉の問題,栄養に対する考え方などが挙がった」と述べています。とくに離乳食については,保健師による家庭訪問の際にも実際に見る機会が少ないために,ブラジル人家庭の離乳食が実際にどのような内容かわかりづらいのではないかと思います。私たちもこれまで県内在住のブラジル人妊産婦の子育ての実態を調査するとともに,ブラジル人妊産婦の支援に取り組んできましたが,離乳食の実際については把握していませんでした。
そこで今回,ブラジルから栄養士の研修生を迎え,県内在住のブラジル人家庭を訪問し,離乳食の実際について調査を行いました。訪問件数は2件と限られた内容ですが,ブラジル人家庭の離乳食を知るうえで参考になるのではないかと思い,報告させていただきます。
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