- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2009(平成21)年7月に「保健師助産師看護師法」および「看護師等の人材確保に関する法律」の一部改正が成立し公布された。保健師助産師看護師法の改正では,「保健師,助産師,看護師及び准看護師は,免許を受けた後も,臨床研修その他の研修(保健師等再教育研修及び准看護師再教育研修を除く。)を受け,その資質の向上を図るように努めなければならない」とされ,卒後研修が努力義務となった。
また,「看護師等の人材確保に関する法律」の改正においても,看護師等の研修には国にも責務があるとされ,病院等の開設者等には「新たに業務に従事する看護師等に対する臨床研修その他の研修の実施,および看護師が自ら研修を受ける機会を確保できるよう,必要な配慮を行うこと」が責務とされた。「病院等」とは病院,診療所,助産所であり,主に看護師と助産師を対象とした新人看護職員研修ガイドラインは,2010(平成22)年4月の改正法施行に向けて2009年末に厚生労働省より提示された。新人保健師研修ガイドラインについては,厚生労働省のワーキンググループでこれから検討されまとめられる予定である。
このような経過を踏まえ,日本地域看護学会は,新人保健師の資質の維持・向上のための臨地研修制度について,2009年度の総会において提案した。日本地域看護学会は,保健師の養成に関わる基礎教育の教員や,保健師としての卒後の資質向上に責任をもつ現任教育を担う実務者で構成されている。すなわち保健師の卒後研修に関しての当事者であり,法改正の動きと並行して,学会として何らかの提案を行うことの合意がなされた。また,保健師の卒後研修についても今後具体的に論議される時期が来るだろうから,それに応えられるものを準備しておこうとの趣旨であった。
筆者はこの研修制度の検討に参画したので,研修制度の内容とともに,学会が「研修事業」ではなく「研修制度」として提案した意義について紹介したいと思う。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.