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大分県竹田市神原地区で農産加工所や農家民泊を営むおばちゃん,おばあちゃんたちがまたまた新たな挑戦をしている。ここにしかない旬を活かした地域振興は,まさに食育の原点。
神の里交流センター「緒環」を運営する地元のおばちゃん,おばあちゃんたち。飲食を提供するためには,店舗に1人「食品衛生責任者」の資格を持つ人が必要だが,3月に全員が講習会を受け,全員が「食品衛生責任者」の資格を取得し,やる気満々
私が行かな,はじまらん!
「うわー! なにか近づいてくる」
車の運転席に座っていた後輩が,いきなりおびえたような声を上げました。深夜2時前。場所は,竹田市内から車で30分ほど行った山のなか,九重野地区。地元の農家のおばちゃんたちが運営する加工所兼研修施設「みらい香房若葉(以下,若葉)」の前でのことです。
近づいてきた謎の影の正体は,「若葉」の豆腐作り名人,後藤つね子さん。暗闇のなか,われわれはライトをつけたまま車中に待機し勝手に怖い思いをしましたが,実際の後藤さんは身長140cmほどの笑顔のかわいいおばあちゃんです。加工所で後藤さんが作る豆腐は,地元で栽培する青大豆(キヨミドリ)を使った青豆腐。「若葉」の看板商品の1つであり,年間6万丁を製造しています。
ご自宅から「若葉」の前に止まっている不審な私たちの車の明かりが見えたそうです。夜中に車が止まっていることなどほとんどない山のなかですから,少し恐くなり,「若葉」に行こうか迷ったらしいのですが,「自分が行かなはじまらん」と意を決し,家を出てきたとのことでした。
後藤さんに続くように,「若葉」で働く地元の農家の女性たちが次々とやってきて,おまんじゅうや地元の産物を使った惣菜作りを始めました。
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