連載 南島詩人一人舞台・6
島のおば―たち
平田 大一
pp.420-421
発行日 1998年6月25日
Published Date 1998/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901842
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今日、僕のもとに一通の案内状が届く。「島のいきいきばーさんの三月あしび(遊び)」という手作りの芸能発表会の御案内である。
単なる芸能発表会ではない。出演者の平均年齢が八八・九歳というお年寄りたちが主人公の、ある意味で体をはった舞台公演なのだ。舞台そでで練習の模様を眺めている徳嶺医師(せんせい)は、「いつでも大丈夫ですよ!」とちゃんと白衣を着てスタンバイし、万が一に備えている。島のボランティアグループ「うふたき会」の応援も受けて、連日連夜の練習にも熱が入る「おばー」たち。ふと徳嶺医師の「最近、みんな診療所に来ないんだよねー」といったボヤきだけが虚しく空に消えた。
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