特集 懸賞論文結果発表
エッセイ部門 テーマ:私のB面
佳作
暮らす町で育てられる保健師
丹正 さとみ
1
1岡山県備中町役場保健福祉課
pp.766-767
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100547
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舞台袖で出番を待ちながら,メンバーの顔は輝いていた。地元新聞社が企画した「ふるさとパワー大賞」コンテスト会場。私の暮らす町,平川のパワーを限られた7分間でどう表現するか。ふるさとを代表して40人が勇んでやってきた。
幕が開いた。トップバッターがスライドで集落の概況を説明する。標高450m,人口800人,高齢化率県下一。さあ,ここからは平川自慢だ。15人が縦一列に並ぶ。1人20秒間で次々に発表する。ユニフォーム姿の男児は,「甲子園に出場した先輩をめざして野球をがんばるぞ!」と意気ごみ,備中神楽の衣装をまとった中学生は,郷土芸能を受け継ぐ決意を宣誓する。60歳代の男女は「まだまだ農業に,趣味にがんばるぞ!」と頼もしい。あっという間に私の出番。今日は町の保健師ではなく,若嫁の代表だ。背中に大きく広げた羽をつけ,左手に洗濯かご,右手に姑の手を引いて登場だ。「平川の若嫁が子どもを3人も4人も産めるのは3世代同居のおかげ。おばあちゃん,洗濯物お願いしま~す!」と姑に渡した。姑はニコッとほほえんでくれた。場内の笑いの渦の後押しで賞もいただいた。
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