提言
セーフティプロモーションを保健師活動に
桝本 妙子
1
,
福本 恵
2
,
木村 みさか
2
,
岡山 寧子
2
,
反町 吉秀
3
1明治鍼灸大学看護学部看護学科
2京都府立医科大学医学部看護学科
3青森県健康福祉部健康福祉政策課
pp.780-784
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100309
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はじめに
私たちのまわりでは,事故や災害,自殺や暴力など,外傷や死亡が日常的に起こっている。これらの事故や暴力,自殺や外傷は,予防できると国際的には考えられている1)。セーフコミュニティとは,これらの事故や暴力のない,安心して暮らせる安全な地域社会のことを指している。セーフティプロモーションとは,外傷予防への公衆衛生アプローチのことであり,セーフコミュニティを進める公衆衛生活動のことである。
1986年,ヘルスプロモーションに関するオタワ憲章が採択され,ヘルスプロモーションはいまや世界的な広がりをみせている。これに関連して,1989年にストックホルムで第1回事故・損傷予防制御学会が開催され,同年にはWHOコミュニティセーフティプロモーション協働センターが設立された。その後,セーフティプロモーションは,ヘルスプロモーションとともに,公衆衛生推進の重要な考え方として位置づけられるようになった。言い換えれば,セーフティプロモーションはヘルスプロモーションの姉妹的存在で,ヘルスプロモーションが,人々の健康を改善しコントロールするプロセスであるのに対し,セーフティプロモーションは,事故や外傷の予防のための環境づくりと考えることができる。セーフティプロモーションは,最近になって紹介されたばかりで,保健師の間ではまだあまり知られていない2~4)。
2005年6月に,ノルウェーのベルゲンで第14回国際セーフコミュニティ学会が開催された。筆者は,ここでセーフティプロモーションの世界的広がりを感じ,地域保健に従事する日本の方々にもセーフティプロモーションを知っていただきたいと感じたため,本稿にて紹介させていただく。
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