研究
現任教育における長期研修(Off the Job Training:職場外研修)の効果―旧国立公衆衛生院における長期研修修業者のグループインタビューによる効果評価から
越田 美穂子
1
,
稲岡 由美子
2
,
大井田 隆
3
,
岩永 俊博
4
1香川大学医学部看護学科地域・精神看護学講座
2兵庫県加古川健康福祉事務所
3日本大学医学部公衆衛生学教室
4地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
pp.772-778
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100308
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■要旨
本研究では,現任教育の代表的な方法の1つであるOff-JTのうち,長期研修を対象にその効果を検証し,今後の効果評価に資することを目的に,9名の現任者を対象にグループインタビューを行った。
その結果,【上位カテゴリー】として,【認識力の高まり】【人間性の向上】【課題対応能力の向上】の3点が抽出された。また,《サブカテゴリー》として,【認識力の高まり】については《基本的な概念や理論の重要性》《全体のなかでの現在の位置を意識する》《自分に足りない能力がわかる》《他職種に対する理解の深まり》《根拠をもって選択することへの自信》《住民の視点と専門家の視点の両視点で思考する》《理論を地域につなげる視点をもつ》が,【人間性の向上】については《他領域への興味・関心の拡大》《自己啓発への意欲》《地域保健従事者としての自覚を改めてもつ》が,【課題対応能力の向上】については《重要なこととそれ以外の取捨選択》《学んだ知識や技術の現場での応用・実践》《情報収集方法の習得とネットワークの形成》《対話やディスカッションを現場で活用できる》《他職種との協働》《調査研究の実践力》の,計16カテゴリーが抽出された。
長期研修の効果は,経験を理論で裏付け,それを再度高める形で現場で応用するという【認識力の高まり】の循環が形成され,その積み重ねが【人間性の向上】【課題対応能力の向上】につながることが示唆された。
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