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Key Questions
Q1:行政が行うヘルスプロモーション活動とは?
Q2:ヘルスプロモーション活動におけるOTの視点とは?
Q3:コロナ禍での健康支援とは?
はじめに
私が日本作業療法士協会の作業療法マニュアル『ヘルスプロモーション』1)の執筆責任者として携わったのは,今から13年近く前のことになる.冒頭に私は,“ヘルスプロモーションという言葉をご存じだろうか.直訳すると健康増進となるが,私たちが健康増進と聞くと,タバコをやめ,アルコールはほどほどにし,適度に運動する,栄養や休養にも意識して……という,いわゆる従来型の個人が中心となって行う健康づくりをイメージしやすい.しかし,ヘルスプロモーションという言葉の概念は,個人的な健康づくりの枠を越え,集団,組織,地域,政策などの大きな領域の中で,健康になるために検討される過程も包括される”と書いた.
ちなみにヘルスプロモーションとは,世界保健機関(WHO)が,1986年に発表した「オタワ憲章」の中で,“人々が自らの健康をコントロールし,改善していけるようになるプロセス”として定義している1).
日本作業療法士協会は,作業療法の定義を“作業療法は,人々の健康と幸福を促進するために,医療,保健,福祉,教育,職業などの領域で行われる,作業に焦点を当てた治療,指導,援助である.作業とは,対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す”2)とし,註釈で“作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる”2)と記している.
ちなみに健康とは,WHOが1946年に“健康とは,病気でないとか,弱っていないということではなく,肉体的にも,精神的にも,そして社会的にも,すべてが満たされた状態にあること”3)と定義している.
マニュアルを出版したころと比べて,OTに「健康」,「ヘルスプロモーション」という考えは,共通に,あたり前にもつ概念として定着しただろうか.目の前のクライエントや集団,地域が健康になることをあたり前に,主体的に希求するよう支援する,そんな専門職集団になっているだろうか.
そうなっていることを願いながら,私が日々の業務の中で行っている,ヘルスプロモーション活動について紹介したい.
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