特集1 分野別 事例で学ぶ「個別のマネジメント」
―実践事例➃ 精神保健にみる個別のマネジメント―関係者の相互支援が,マネジメントを支える
柏木 由美子
1
1東京都町田保健所
pp.1036-1040
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100221
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現場はいま,成果や答えが求められる。最近,相談内容は複雑化し,それに対峙する保健師は,問題解決を迫られ,何とか答えを出さなければとあせる。そして不安や迷い,戸惑いなどの揺らぎの感情に押しつぶされている。そのため,相談者と向きあい続けるという積み重ね,体験を大切にする時間より,システムやさまざまなマニュアルに当てはめ,早期の解決をあせってはいないだろうか。また,個別性が薄められていないだろうか。自分自身の技術や課題に直面することを回避し,援助技術を丁寧に積み重ね,自分の力を培うことを置き去りにして,複雑で難しい事例の問題としてすり替えていないだろうか。
本稿では,1つの事例への5年にわたる関わりの過程を通して,個別支援から事例に関わった関係者が相互に育ち合い,ネットワークが地域全体に広がり,保健師の活動基盤が作られる過程を振り返る。そして個々の状況にあわせた保健師のマネジメント技術について考えていく。
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