特集1 分野別 事例で学ぶ「個別のマネジメント」
―実践事例➀ 介護予防にみる個別のマネジメント―介護予防において保健師活動に期待されるもの
緒方 有為子
1
1北九州市戸畑区基幹型在宅介護支援センター
pp.1021-1025
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100218
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保健師への期待
介護予防事業は,今回の介護保険制度改革の最大ポイントのひとつとなった。介護予防の定義として「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと,そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと」とされているが,介護保険における予防給付について適切に実施されたとはいいがたい結果であったこと,また,非該当者を対象者とした介護予防・地域支えあい事業や,老人保健事業における機能訓練事業などについても,その目的を十分果たせなかったことなどが指摘されている。老人保健事業については,「健康な65歳」から高齢者の自立支援という観点に立ち,社会参加を含めて,生活機能が自立した「活動的な85歳」を新たな目標とした。
こうしたことを背景に,今回の介護予防事業に関しては,虚弱な状態にあり,要支援・要介護に陥るリスクの高い高齢者を対象に,生活機能低下の早期発見・早期対応を行う地域支援事業に対応するものと,要支援・要介護状態にある高齢者を対象に要介護状態の改善や重度化を予防する新介護予防給付に対応するものとの2本立てとなり,介護予防事業のマネジメントやプランのチェックを地域包括支援センターに配置される保健師らの役割として担うこととなった。そこには,本来保健師が職能的にもっている「予防活動」が活かされることであり,期待されていることであると思う。活かされるとは介護予防事業のマネジメントであり,期待されることとは,成果を挙げること(アウトカム評価)であろう。
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