特集 新しく専任教員となられた先生のために
教室授業のすすめ方
長谷川 栄
1
1東京教育大学教育学部
pp.9-11
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908832
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教師の立場に立って
教室に入って授業をはじめようとするとき,すでに教師には,この授業をどのように進めていくか,綿密に準備されていなければならない。この準備された計画をさして,普通「教授案」(教案または学習指導案)という。教室授業の進め方といえば,この教授案における学習活動の展開過程が意味される。そこで,ここでは教師の立てる教授案のいくつかの主要な観点に着目して,教室授業の進め方を述べてみたいと思う。
さて,授業は,教授の主体である教師と学習の主体である生徒とが教材を媒体にして互いにかかわりあって進む複雑な過程である。教師にとっては,あくまでも教材にとりくむ生徒の学習活動が眼目であり,この活動の中で授業の目標が達成されるよう,教師は生徒を助成し,指導するのである。したがって,まず,一体生徒に何を学習させるかという,授業目標が明確にされていなければならない。生徒がきわめて活発に活動しても,往々にして,焦点のない雑然とした授業になることがあるからである。そのさい,生徒が一体何をどの程度学習したかということをみると,その授業の目標が不明確であることが明らかにされる。授業目標は,明確にすることと共に,生徒にどんなことを理解させるか,あるいはどんな技能を習得させるかなど,できるだけ具体化しておく必要がある。
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