講座 日本の看護の歴史・14
近代・6
15年戦争のなかの看護 [1]昭和初期の人びとの生活と健康/[2]満州事変と日中戦争での戦時救護/[3]太平洋戦争の戦時救護/[4]戦争下の健康の破壊と看護職の対応
遠藤 恵美子
1
,
加藤 文三
1
,
上坂 良子
1
,
坂本 玄子
1
,
高橋 政子
1
,
名原 壽子
1
,
渡部 喜美子
1
1看護歴史研究会
pp.562-571
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908551
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
昭和という時代は,1927(昭和2)年の金融恐慌に始まる.ついで1929年の世界恐慌の影響で,日本は1930(昭和5)年頃から「昭和恐慌」とよばれる深刻な不況に陥った.中小企業が倒産し失業者が増大した.農村でも凶作にみまわれ,また豊作だと農産物価が下落して「豊作飢饉」となった1).その上,都市に出ていた人が帰農し,娘の身売り2)がおこなわれるなど窮迫が続いた.労働者と農民は,恐慌と産業合理化に対し,戦前最高の労働争議3)と小作争議とで闘った.
日本の支配階級は,恐慌からの脱出を中国への侵略と経済の軍事化に求め,国民の自由を弾圧しながら,1931(昭和6)年の満州事変に始まり,1937(昭和12)年の日中戦争へと引き続く15年戦争に突入していく.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.