特集 戦争と平和
わたしの読後感「白の墓碑銘」を読んで
“戦争はイケナイ!”
望月 きく江
1
1信州大学病院
pp.38-39
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914081
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“真白に細き手をのべて,流るる血しお流い去り,まくや包帯白妙の,衣の袖はあけにそみ”私がまだ幼い頃,母はよくこの歌を口ずさんでいた。その哀調をおびたメロディーが気に入ったのか,子供心にも私はすっかりその歌が好きになり,意味もわからぬまま,いつしか歌詞まで暗記してしまっていた。幼きの知る由もなく,その頃すでにいやそれ以前から,わが国はあちこちの国々と交戦し,昭和16年にはついに,日米戦争から第二次世界大戦へと突入しつつあったのである。そしてそこには,私が無心に歌っていた婦人従軍歌もはるか及ばぬ,悲惨さきわまりない現実が横たわっていたのである。
今回その当事者であった人々の,遺稿集および手記に接し,同じ看護婦としての立場から,私はいったい何を考えたであろうか。
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